7人の男性に輪姦された過去、
そして現在……。
【告白と音声】後藤まなみ
私は心の痛みを感じない人間です。
悲しいこともうれしいこともオブラートに包まれています。とおいどこかで心を揺さぶらられているはずなのに、私は薄い膜の向こう側から眺めているだけです。
おそらく生まれつき心に欠陥があったのだと思います。子供の頃から変わった子だと言われていました。でもひとつ忘れられない事件があったこともたしかでした。
7人の男性に輪姦された過去があります。
女友達と二人で遊びに行った先でいきなり襲われました。相手の男性は初対面でしたが、友達の知り合いでした。
一人の男の人に肩を抱かれたときは酔っ払ってて冗談なのかと思いましたが、手で払おうとしたらものすごい力で手首を握られて押さえつけられました。気がつくと2人、3人の男の人に両手足を押さえられて、あっという間に身動きが取れなくなりました。
女友達が遠くで「やめてよー」と叫んでいるのが聞こえましたが、誰一人反応する人はいませんでした。
ズボンのファスナーを下ろされ、下着ごとデニムを剥ぎ取られました。
好きな男性にしか見せてはいけないと言われていた場所があらわになるのがわかりました。
「おおー」という歓声があがって、私は必死に足を閉じようともがきましたが、男の人の力に逆らうことはまったくできませんでした。こじあけられるように、私の股間が開かれていきました。
一人目の男性が私の股のあいだに入ってきてペニスを押し当てたとき、私は今から犯されるんだとわかりました。不思議に恐怖はありませんでした。俯瞰で眺めていてそうなんだと、達観している私がいました。
なにかの小説か漫画で読んだことがあるんですが、薄い透明のビニールの中に私が入っているような感覚です。一人目の男が私の中でピストン運動をしました。好きでもない男の人のペニスが私の体を出入りしました。耐え難いことなのに感覚がありませんでした。他人事のようでした。
一人目の人が私のおへそのあたりに射精しました。すぐに二人目の人が入ってきました。そして三人目、四人目……。いつまでつづくんだろうと、ぼんやり考えていました。
そのとき、いきなり変なことが頭をよぎりました。
「あそこがすごく濡れてる」
強姦されているのに私の肉体は反応していたんです。まるで淫乱な娼婦のようにぐしょぐしょに濡らしていたんです。
「ああ、いやあー」
悲鳴だと思っていた私の声が、ほんとうは喘ぎ声だった……。
あれから何年もたって何度も何度も思い出します。暴力で犯されたはずなのに、思い出すその事件は、私にとっては複数プレイの記憶です。7人の男性を相手にして感じまくってしまった淫らな私。それだけが事実のようです。
私がその輪姦事件を境に変わったとは思いません。私は子供の頃から変なところのある子でした。セックスが何なのかもわからないときから、男の人を知らず知らずに誘惑していたし、男の人が私にしようとしていることを感じてドキドキもしていました。
あの事件以降変化があるとしたら、おおぜいの男の人と寝る女になったことです。一人の男性とおつきあいすることができません。二人、三人、四人。二桁の数の男の人と同時に交際したことは何度もあります。
また、SMプレイにものめり込んでいきました。緊縛サークルにも入りました。大勢の男の人に見られている中、縛られて足を開かされると、深い谷底に堕ちていくような快感を感じました。
浣腸もスパンキングもイラマチオも、S女になってM男に食糞させたこともあります。私は貪欲に性に溺れていったのです。
Mは深い心の傷を癒やすために、小さな痛みを求めてしまう。
そんな話を聞いたことがあります。
過去に強烈な恥ずかしい体験をした人が、もう一度それを体験することで心の傷を解消しているというのです。教室で失禁してしまった女子が、おもらしマニアになるように。母からおしおきされているところを見られた子がスパンキングマニアになるように。
こんな私にも心の傷があるのでしょうか? なにひとつ自覚はありません。
「ごめんなさい」
ひとりきりの夜。真っ暗な部屋の中でつぶやきます。誰に対してなのか、それすらわからないけど、私はそうつぶやくと胸がしめつけられそうになります。ごめんなさい、ごめんなさい、ゆるしてください……。私が私に戻れるのは、この言葉を口にしたときのような気がします。
私は答えのないクイズを出された子供のように道に迷う日々です。
自分のことすらわからない私がアドバイスなんておこがましいんですが、今現在、マニア女性の方の相談を受け付けています。
これまではごくごくプレイベートなやり取りでしたが、ちょっとしたきっかけで「マニア倶楽部」を介して何人かのマゾ女性とお話する機会に恵まれました。いつかそのお話もしてみたいと思います。
今回は、「マニア倶楽部」に送られてきた交際希望メールを朗読させていただきました。興味のある方は編集部の方とコンタクトをとってみてください。
*『マニア倶楽部』7月発売号に掲載予定の交際メッセージの一部を後藤まなみさんが朗読しています。コチラより。